1,500 人を超える科学者の卵が毎年 5月に集結し、高い評価を受けている審査員の前で最先端の研究を発表し、その研究を継続するための約 400 万ドルの奨学金の獲得を競う Intel International Science and Engineering Fair (Intel ISEF) ほど 「未来に不安はない」 と明確に思わせてくれる場所はありません。
世界中の提携コンテストを勝ち抜いてきたこれらの若いイノベーターたちが歩んできた道はたやすいものではありませんでした。彼らは現代の難しい課題、例えば、環境への影響を削減するための代替エネルギー源や対策の探究、病気や苦痛を根絶するための医学的条件や方法の研究、宇宙の仕組みを究明する、または私たちの日常生活を改善するテクノロジーなどの開発に取り組んできたのです。
Bruno Oliveira Buzo (ブラジル、リオクラロ)
ブラジルでは近年、皮膚癌の発生率が著しく高まっています。さらに、皮膚癌の患者の数は低所得者層に偏っていることが調査により判明しており、その一因として日焼け止めが高額であることがあげられています。
この問題に対処するため、Bruno Oliveria Buzo は、日の光をさえぎる可能性があると期待されるベニノキ (リップスティック・ツリー) という植物のエキスを使用した安価な日焼け止めの開発に取り組みました。ベニノキは南北アメリカの熱帯地域に生育する固有の木で、昔からボディーペイントや口紅、料理のスパイス、軽い病気の治療にまで使われてきたアナトーという物質を生成するため、重宝されてきました。
Oliveria Buzo の研究では、ビキシンという植物由来の活性物質の分離と純度の特定をさまざまな方法で試しました。別の一連の臨床試験では、この若き科学者は既存の化学的および物理的日焼け止めと同程度に効果があり、現在の日焼け止めよりも安価で有望な代替品となることを実証しています。
Anna Simpson (米国カリフォルニア州サンディエゴ)
Annna Simpson は、5 年生のときに火星探査車 「スピリット」 と 「オポチュニティー」 に焦点をあてた FIRST LEGO* League Challenge に参加して以来、ロボット工学に夢中になっていました。Simpson が研究の対象としてロボット工学を選択したことは不思議ではありません。
具体的には、Simpson は、危険な場所を走行して有害な化学物質を検出できる自律型ロボットを設計し、作成しました。ロボットを配備すると、危険ゾーンへと移動し、流出物を探し当てて蒸気を吸引し、有害物質の有無を検出して警報を発します。設計作業に 2 年をかけ、複雑な回路を独学した Simpson は、ロボットのプログラムを調整して、検査と反応のさまざまなアルゴリズムを実装することができると述べています。その結果、産業、セキュリティー、およびテロ対策での救命活動に多様に応用できます。
もちろん、Simpson の設計は LEGO* ブロックに立脚しています。
Francesco Marcuzzi、Massimiliano Andreetta、Sabrina Grassi (イタリア、ウディネ)
重金属で汚染された土壌を再生するため、Francesco Marcuzzi、Massimiliano Andreetta、Sabrina Grassi の 3 人は、植物を使った毒素を除去するための安全かつ安価な方法を考案しました。
具体的には、化学工業によって何年もの間汚染された土地であり、癌の発生率の高い地域として知られている、イタリアのトルヴィスコーザの汚染土壌に 2 種類の植物、グンバイナズナの一種 Thlaspi caerulescens とタバコ草科の Nicotiana tabacum を植え、その毒素吸収能力を調べました。さまざまな汚染土壌のサンプルでこの 2 種類の植物の発育を調査し、それぞれの植物が枯れたときに植物の要素を分析しました。土壌から毒素を吸収するのに Thlaspi caerulescens は特に効果的であり、「ハイパー・アキュムレーター」 (金属超集積植物) としてみなせるという研究結果が示されています。Nicotiana tabacum も土壌から毒素を吸収しますが、より多くのバイオマスを生み出しました。
Marcuzzi、Andreetta、Grassi は、これらの植物の遺伝子組み換えにより汚染土壌からの毒素の吸収能力がさらに高まって、安全かつ手ごろに土地を再生する方法となる可能性があると考えています。
Kin Israel Notarte、Karina Louise de la Cruz、Jamie Mananquil (フィリピン、ドゥマゲテ)
抗癌化合物の可能性を特定するため、Kin Israel Notarte、Karina Louise de la Cruz、Jamie Mananquil は、海藻によるウニの胚の有糸分裂阻害への影響について調査しました。
藻の生エキスをシラヒゲウニの胚に塗り、有糸分裂阻害効果を細胞分裂の全期にわたり調べたところ、統計的に有意な成果が数時間以内に得られました。これまで、紅藻類のホソバナミノハナには抗癌特性があると報告されており、対照と比較して、ほぼ完璧に有糸分裂を阻害しました。バビラソゾ、センナリヅタ、ユミガタオゴノリも強い阻害力を示しましたが、トサカモク、ウチワサボテングサ、Codium geppiorum (ミルの一種)、Laurencia thuyoides (ソゾの一種) による阻害はごくわずかか、全く阻害しないことが判明しました。
ウニはヒトと関連があり、ヒトの DNA 配列の 7,000 を超える遺伝子が共通であるため、この研究は新たな癌治療の特定に役立つ可能性があります。
Nathan Monroe (米国フロリダ州ポンテ・ヴェドラ・ビーチ)
化石燃料への依存を軽減したいという思いから、Nathan Monroe は太陽エネルギーを生成するのに事実上どこででも使用できる、安価で軽量な 「プラスチック製」 太陽電池の実現可能性を調査しました。
Monroe の研究は、どんな表面にでも噴き付けまたは塗ることができ、太陽電池となる液体ポリマーの開発です。このプロセスは安価ですが、既存のシリコン規格と比べると効率性が劣ります。そのため、Monroe はさまざまな製造技術を試し、ポリマーの厚みやナノ繊維の長さなどの可変要素を調整したところ、ナノ繊維を長くすると、統計的に有意な効率上昇が見られました。
これまでに Monroe はそのソーラー技術を野球帽のひさしに使うことに成功し、iPod や携帯電話の充電もできるようになりました。Monroe は太陽電池のペイントが自動車や建物、さらには国際宇宙ステーションの電力源として使われるようになると予想しています。何といっても、大きくて壊れやすいシリコンパネルを軌道上に運ぶという現在の方法に比べると、液体ポリマーの缶を宇宙に持っていくことははるかに簡単であり、費用もかかりません。