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泰地 真弘人 博士率いるシステム情報生物学研究グループ 高速分子シミュレーション研究チームがインテル、日本 SGI 株式会社と協力して開発した 1 PFLOPS の理論ピーク性能を持つ "MDGRAPE-3 システム"は、分子動力学 (MD: Molecular Dynamics) シミュレーションにより、タンパク質約 3,000 種類についての機能・構造解析、および研究成果の産業移転を目指す、タンパク 3000 プロジェクトの一環です。
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チームリーダー 泰地 真弘人 博士
東京大学 大学院でレーザー分光学の研究を行っていた 1980年代の後半から 1990年代初頭にかけて、イジング (Ising) モデルのモンテカルロ・シミュレーション専用機 "m-TIS" (1 号機、2 号機) を開発、その後、重力多体問題専用計算機 "GRAPE (Gravity Pipe)" のプロジェクトに参加するなど、科学計算向け専用機の分野では草分け的存在。 |
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MD シミュレーションとは、物質を構成する原子の運動の様子をニュートン力学に基づいてコンピューター上で再現する手法です。ニュートン力学と言えば、質点間に働く万有引力の法則が有名ですが、原子の間に働く力の作用についても、同様に距離の逆自乗に比例するクーロン力、原子の組み合わせで変わる分子間力などの力の法則が知られています。このことを利用して、物質の性質を理解しようとするのが MD シミュレーションです。
『実験ベースでは市販されていない薬のスクリーニングは不可能ですが、MD シミュレーションではそうした未知の薬についても研究できます。さらに、タンパク質の立体構造予測のシミュレーションなども行っています。タンパク質を構成する原子は、常温では揺らぎながら運動していますが、実験ではそうした微妙な動きは把握できません。高精度の MD シミュレーションでは、原子レベルでの詳細な動きについて知ることができ、実験では得られない情報を得ることができます。』(泰地 博士)
小規模システムによるデモ風景
分子動力学シミュレーション・パッケージ "Amber*" を使い、イモチ病 (イネの伝染病) の原因菌と農薬の結合の様子を、高解像度のステレオ 3D アニメーションで表示。原子数は 4,953 個。周りにある水分子の挙動までも正確に再現され、3D メガネを通して構造を立体的に把握できます。軌道の微調整や分子同士の噛み合わせ方は、キーボードやペン型のコントローラーで操作します。システムには、2 つの MDGRAPE-3 チップ搭載ボードを装着したインテル® Pentium® D プロセッサー・ベースのサーバーを使用。リモート、ローカル、いずれの環境にも対応。
1 PFLOPSの計算性能を測る例として、スーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500* (英語)」があります。2006年6月16日現在、現在世界第 1 位にランクされているスーパーコンピューターの理論ピーク性能は、360 テラフロップス (TFLOPS: 0.36PFLOPS に当たる) です。今回開発した MDGRAPE-3システム では、TOP500 リストの基準となる「Linpack* ベンチマーク」を実行できないため、性能を直接比べることはできませんが、理論ピーク性能でその約 3 倍に相当します。
理論ピーク性能である 1 PFLOPS の性能では、100 万原子クラスのタンパク質、あるいはマイクロ秒という長い時間の動きについても高速、高精度の解析ができるようになります。MDGRAPE-3 システム は、タンパク質 − タンパク質相互作用や、遺伝子情報から特定のタンパク質を生成するメカニズムの解明、ガンに代表される疾病の原因究明など、生命科学における広範囲な分野での貢献が期待されています。
『1 PFLOPS の性能を使うことで、例えば創薬において 20 TFLOPS クラスの計算機で処理できるのは 1日に数十サンプルくらいですが、1 PFLOPS になると 1,000 から数千対サンプル/日が可能となります。』(泰地 博士)
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